『水引草』を見るとこの詩を思い出します…
のちのおもひに    立原 道造
夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を
うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
――そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……
夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには
夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう
「萱草(わすれぐさ)に寄す」(昭和12)所収
語釈
【草ひばり】 こおろぎの一種。八、九月頃に美しい声で鳴く。
『ミズヒキソウ』
2010.09.21ミズヒキソウ
『コバナワレモコウ』
2010.09.21コバナワレモコウ
『アキノキリンソウ』
2010.09.21アキノキリンソウ
『クルマバナ』
2010.09.21クルマバナ
『ミゾソバ』
2010.09.21ミゾソバ